第十三章 永遠の眠り

ラムセス2世のミイラが発見されたのは、デイル・アル=バハリという地(王家の谷の南東)の秘密の隠し場所であった。1881年、フランス人でエジプト考古局長のガストン・マスペロによってつきとめられた。「デイル・アル=バハリの秘密の隠し場所には、約30にもおよぶ棺が置かれており、それぞれにファラオや王妃のミイラが収められていました。ラムセス2世だけでなく、父セティ1世など新王国時代の有名なファラオのミイラがまとまって発見されていたのです」(吉村博士談)。隠し場所はもう一つあった。1898年、アメンヘテプ2世の墓で合計13体のミイラが発見されている。新王国時代の次にあたる第3中間期の時代には、墓荒らしが横行するようになり、神官たちはファラオたちのミイラを墓荒らしから守るため、みつからない場所へミイラを移したのである。「ラムセス2世のミイラの身長は167センチメートルです。生存中は174センチメートルほどだったと考えられます。髪の毛の色は黒、肌の色は現在のエジプト人と同じような色をしていました」(エル=ダマティ元館長談)。174センチメートルという身長は当時のエジプト人としては少し高いほうだ。ラムセス2世のミイラには、右肩関節や左右の股関節に関節症などの病気をわずらっていたあとが確認されています。そのため、右腕の運動や歩行に不自由していた可能性も指摘されている。 67年にもおよぶ長く、輝かしい治世の末に亡くなったラムセス2世。今は木の棺に横たわり、カイロ博物館のミイラ陳列室で永遠の眠りについている。