第八章 巨大なラムセス2世像

アブ・シンベル大神殿の正面に彫られた座像は、ラムセス2世の像としては最も巨大なものだ。ラムセス2世はほかの神殿にも自身の巨象を建造している。ルクソール西岸にあるラムセスには高さ約17メートル、重さ約1000トンと推測される花崗岩製の座像が建造された。この巨象はラムセスの第一中庭に立っていたが、現在は倒壊していいる。上半身は顔を上にして横たわり、両足の先端が並んで置かれ、それ以外の部分はばらばらになっている。ラムセウムは周辺の施設まで含めると、約1万5000平方メートルにもおよぶ建造物だ。ヒエログリフを解読したシャンポリオンは、ラムセスを「歴史的な大建造物としては、おそらくテーベで最も高貴で優雅なものだろう」と書いた。カイロの近くのメンフィスには、石灰岩製の約15メートルの立像が建てられた。ここにはラムセス2世の神像があった。メンフィスのラムッセス2世像は、現在は足の部分が失われ、倒れた形で保存されている。ルクソール東岸にあるカルナック・アメン大神殿の第一中庭には、花崗岩製の高さ約15メートルの立像がつくられた。その足の間には王女ベントアナトが彫られている。ベントアナトはネフェルタリの次の王妃イシスネフェルトとの子だ。ルクソール神殿の第一塔門には、花崗岩製の高さ約14メートルの座像が門をはさんで2体並んでいる。第一塔門とそれにつづく中庭はラムセス2世によって増築されたものだ。このような巨象は、いったいどのようにしてつくられたのだろう。エジプト、カイロ博物館元館長のマムドゥハ・エル=ダマティ博士は次のように語っている。「巨大な像をつくる場合、まず石の産地でおおまかに形を整え、神殿に運びこんでから細部を仕上げたと考えられます」。